「魂の退社」を読んで自身の生き方を真剣に考える

読書が最大の趣味のユリイカです。

『魂の退社』 著:稲垣えみ子さん を読みました。

50歳で大手新聞社を辞めた著者が、なぜ定年よりだいぶ前に ”退社” を考え始め、実行し、そして結果どうなったのか。

人生の大きな決断である退社。

会社員ならいつかは訪れる退社。

その一部始終が書かれており、そして自らも自身の”退社”を想像せずにはいられなくなりました。

人生の折り返し地点

著者である稲垣さんが退社を意識したきっかけは、ひと足さきに40歳を迎えた会社の先輩に「人生の折り返しですね!」とからかいを込めて放った自分の一言だったそうです。

私、これを読んで衝撃を受けました。

だって、私は41歳。

今まさに稲垣さんの言う、人生の折り返し地点に立っているではないか!

仕事、お金、暮らし。

確かに折り返し地点までのこれらのあり方と、折り返し地点以降のこれらのあり方が、全く同じではない気がします。

折り返し地点…

そんなこと想像すらしていなかったのに、なんだか急に今がとてつもなく大切なターニイングポイントであると思い知らされたんです。


本の中では四十期という、人生の道しるべとなる古代インドの考え方が稲垣さんの考え方に影響したことにも触れられていました。

人生を学生期・家住期・林住期・遊行期の4つのステージに分け、それぞれのステージの理想的な生き方を解いています。

学生期は25歳頃までの、人生の先輩たちから生きる術を学ぶ時期。

家重期とは25歳から50歳頃までの、仕事をし家族を養う時期。

林住期は50歳から75歳頃までの、社会や家族と離れて林の中で修行し自分を見つめ直す時期。

遊行期とは75歳から死までの時期で、人生の終盤に向けて準備する時期だそうです。

50歳から始まる林住期が自分を見つめ直すステージだと想像すると、その時期を仕事が中心の年代にして本当に後悔しないのだろうかという気がしてきます。

身体が老化し始め体力は衰えていき、少しずつ無理できなくなる年代であり、いわば最後の本当になんでもやりたいことができる時期なのでは。

50代をどう生きるかは、とても重要なことに思えてきました。

そして、40代の今はじっくり時間をかけ少しずつその準備をしていく年代なのではないか。

50代からの人生を計画し、理想の50代の為に準備していくのが、今まさに私がすべきことなのだと感じました。

田舎で気づく人生とお金の関係

新聞社勤めだった稲垣さんは、大阪から香川へ異動を命じられ、そこで生活は一変したと言います。

都会での派手な暮らしから、田舎での質素な暮らしへ。

とにかくお金を使わなくなったそうです。

それでも豊かに幸せに生きていけることを発見できたと。

新潟の田舎から都会に出た私もこれには同感で、人間は環境の生き物であるとつくづく思います。

都会の暮らしでは自分のお金を使う基準を持っていなければ、それこそいくらあっても足りない。

かたや田舎暮らしは、そもそもお金を使う場所自体が都会ほどないのです。


歳を重ねるほど、物に溢れた生活より必要最低限の物だけに囲まれて、自然の中で心身ともに豊かに生きたい。

季節の食べ物を食べ、四季の変化を感じ、その幸せな時間を大切な人たちと分かち合いたい。

稲垣さんがそう感じたように、私自身にとってもそのような暮らしの方がずっと幸せな人生だと、本を読んで再度考えをまとめることができました。

幸せな暮らしは十人十色。

だからこそ、自分にとっての ”幸せ” をしっかり言語化し、周りに流されないことが最も大切だと思います。

そのためには1人の時間をとってじっくりと考えること。

自分の人生なのだから、急がず、焦らず、自分で考えることが必要だと思います。

チューブを外す

その後は東日本大震災があり、それがきっかけで冷蔵庫や掃除機などの文明の力を一つずつ手放していった稲垣さん。

最後には暗闇の中、電気も使わないと言う暮らしを紹介されていました。

そういった当たり前にあるものを手放していくことは、体に繋がれたチューブを1つ1つ外していくようだと書かれていました。

この言葉も私にとって、この本での第二の衝撃でした。

暮らしの中に当たり前にある電化製品。

確かに私はこれらがないと生きていけない人間だし、チューブに繋がれ続けている…

これらがなくても困らない人は、最強なんじゃないか。

今の暮らしではやはり電化製品がないと生きていけない私なのですが、調子の悪い掃除機を買い替えずに、素敵なホウキを買ってみようかと考えているところです。

日本は会社社会

ついに50歳で退社された稲垣さんですが、その後は日本が会社社会であることをさまざまな場面で思い知らされます。

引越しや国民健康保険、スマホの購入など、日本では会社員であることが信頼性を担保すると言うことを痛感させられる出来事が紹介されています。

働くってなんだろう。

会社員であることってなんだろう。

かくいう私もつい最近、転職活動を経て正社員に戻るために頑張ったわけですが、いつの間にか世間の常識や慣習に逆らえない大人になったような気がします。

ただ、流されているだけの人生は恐らく楽ではあるけれど、自分で流れを決める人生よりきっと死の間際に後悔が大きいのでは無いでしょうか。

もっと生きる明確な目的、情熱のようなものが欲しい。

たった一度きりの自分だけの人生ですから…

改めて深く考えさせられました。

人間らしく

最後に、退職してアフロヘアになってから異様にモテるようになった生活がまとめられていました。

見ず知らずの人と仲良くなっていく様子は、人間が社会的動物であることを教えられます。

例えば街で歩いている最中に、耳には常にイヤホンをつけ、目も頭も目的地に向かって一直線な状態、それはまるで周りの人や環境に対してバリアを張っているような状態です。

そうではなく、周りの人や景色を見て感じることで、自分自身が”今ここにいる”ということを楽しむことが必要なのではないか。

気分が良いなら、周りの見ず知らずの人に挨拶したり世間話をするのは人が本能で行う自然の流れなのかもしれません。

なんだかそれは人生の余白のような、人として余裕のある楽しい生き方のような気がします。

思考は常にあちらこちらを彷徨い、心と身体が一緒に存在していない状況から、自分の中に心を取り戻し、”今ここ”に100%存在したい。

そんな練習をすることから始めようと、本を読んで感じました。


これからどんな人生を生きたいか。

時間を使って1人でじっくり考えたいです。

もし今退職をお考えの方、そして40歳前後の折り返し地点にいる方、生き方に迷いのある方は、ぜひご一読をオススメします。

最後までお読みいただきありがとうございました!

それでは今日も良い1日を。

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